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「カシオペアの丘で」 重松清 講談社



人は誰でも、心の中にひっかかる思いを抱えて生きているものです。
いろんな人と関わり、様々な経験をし、幾つもの年月を重ねても
決して忘れ去ることのできない思いを引きずっているものです。
それは、許してほしいと願うことであり、許したい思うことなのかもしれません。


かつて炭鉱で栄えた北海道の街。そこに幼馴染の4人組がいました。
小学生のシュン、トシ、ユウ、ミッチョの4人は、丘の上で夜空を見ながら夢を語ります。
「ここは何になればいいと思う?」
「遊園地」
4人の言葉がひとつになりました。
「絶対、これしかないよね」



ある出来事をきっかけに、炭鉱経営の後継者だったシュンは街を去ります。
時が流れ、ユウはテレビの製作会社のディレクターに。
トシはあの丘につくられた遊園地の園長になり、ミッチョはトシの妻になっていました。
サラリーマンになったシュンは、末期ガンを告げられます。
その病院のテレビで、ある事件のニュースが報じられていました。
そこに映っていたのは、今は遊園地になったあの思い出の丘。
閉じ込めていた思い出や、これまでの様々な思いがシュンに蘇ってきます。
二度と訪れることがないと思っていた故郷に、シュンは帰ることを決意。
導かれるように4人は、あの丘で再会します。


 


皆それぞれに忘れられない思いと屈折した感情を抱えて生きています。
生きていくというのは、それらと葛藤することなのかもしれません。
読むほどに、違った生き方ができたのではないかという切なさと悔しさでいっぱいになります。
と同時に、心のどこかでこの物語がファンタジーであってほしいと願っていました。
でも、そこには現実が存在しています。



皆が背負ってきたものが、それぞれに重く苦しいものであったことが浮き彫りになるにつれ、
涙があふれてきます。
そして、病気、事件、あの事故を経て、一人一人が新たな思いで歩き出していく姿に心が震えます。


 


生きるということ、死ぬということが真正面から迫ってくる作品でした。
読み終わった後、ブックカバーを外してみてください。
とても素朴で何気ないように見える装丁ですが、
読んだ後にこの2冊の表紙を見ると、再び涙が溢れてきました。




 ca-1.jpgca-2.jpg
     カシオペアの丘で(上)       カシオペアの丘で(下)


 



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テーマ:読んだ本。
ジャンル:本・雑誌

「悪魔の辞典」 A・ビアス 著  岩波書店 他


何やら不気味な名前の本ですが、オカルト系の読物ではありません。悪魔の人名辞典でもありません。これはライター、エディター、翻訳家御用達の本。作家にも愛読されている方が多いんですよ。あの芥川龍之介が愛読していたのは有名です。
19世紀の末に新聞記者だった著者がコラムとして連載していたものを出版。全世界で翻訳され、大ベストセラーになりました。

様々な用語を痛烈な風刺を込めて解説(?)したもので、ブラックユーモアたっぷりに表現してありますので、くれぐれもそのまま受け取ったりしないで下さいね。
例えば、
【美しさ】 女性が恋人を魅了し、夫を震えあがらせるために用いる力。 
【夜明け】 良識ある男たちの床につく時刻。 
【結婚】 二人の人間が一人になろうとし、一人の人間は無になろうとし、我慢できるものが何もなくなる儀式。
こんな感じです。
なるほどねえと感心するもの、よくまあここまでひねくれた捉え方ができるものだと呆れるもの等々。
アメリカンジョークがピンと来ないように、この本でのブラックユーモアはストレートに笑いに導いてくれるものばかりではありません。「ふふふ」と忍び笑いをする感じでしょうか。その微妙なところがおもしろいんです。

「○○版悪魔の辞典」といったものも多数出版されています。この世界にはまった人は数知れず。オリジナルの悪魔の辞典を作っていらっしゃる方も多いようですよ。

文章を書く参考ににするのもよし。暇つぶしに読むのもよし。
何だか気持ちが重くなりかけている時に読んでみると、人生とはこんなもんさと笑い飛ばせるかも。


悪魔の辞典


     新編 悪魔の辞典 (岩波文庫)

テーマ:紹介したい本
ジャンル:本・雑誌

「二時間のモナ・リザ」 西岡文彦 著  河出書房新社

「ダ・ヴィンチ・コード」のブームで、
改めてレオナルド・ダ・ヴィンチの謎や魅力に興味を持たれた方も多いのでは? 
知れば知るほど興味がどんどん膨らんでいく―ダ・ヴィンチって驚くほど奥が深い。

実に面白い本です。
「モナ・リザ」は最も有名な絵画といってもいいでしょうね。
この絵を初めて目にした時どう感じました? 美しい、不気味、怖い・・・。
どれも正解なんですよ。
もちろん、人の感情に正解も不正解もないのですが、
多くの人がそれぞれに抱く感情の要因がすべてこの絵画には含まれているということも、
この本を読めばわかります。
「ダ・ヴィンチ・コード」のエンターテイメントとしての謎解きと美術としての視点と
比べてみるのも楽しいかもしれません。
「モナ・リザ」盗難事件についての記述もとっても面白いですよ。

美術評論家が書くものは、大抵高飛車な書き様のものが多いのですが、
この本は、美術愛好家だけでなく
人間として持つ興味や感情を汲み取るように書かれた本です。
解説の仕方も実にわかりやすく、自然な形で読む者を導いてくれています。
否定から入る評論家とは全く違う人種なような気がします。
文体はややぶっきらぼうで淡々としていますが、
知識と研究に裏づけされた上での絵画を心から愛する気持ちが
ダイレクトに伝わって来て、どんどん引き込まれていきます。
もっともっと知りたくなる、今すぐルーブルに飛んでいきたくなるそんな1冊です。

版画家であり、多摩美術大学の助教授である著者の西岡先生は、
とっても懐の深い、人間性の豊かな方なんじゃないかなあ。

 

二時間のモナ・リザ―謎の名画に全絵画史を読む

 

 

 

テーマ:読んだ本。
ジャンル:本・雑誌

「帝国ホテルが教えてくれたこと」 竹谷年子 著  大和出版


昭和8年、帝国ホテルで初めて女性客室係が採用されました。
著者の竹谷さんは、その一期生。
VIP客室担当として60年近く活躍され、
その笑顔は帝国ホテルの財産と言われた伝説の方です。

エリザベス女王やマリリン・モンローなど数々のVIPとの交流や
エピソードはなかなか興味深く語られています。
驚かされたのは、竹谷さんの細やかな心配り。
まあ、私がVIPとして帝国ホテルに宿泊することはないので、
これほどのサービスを受けることはまずありませんが、
一流のホテルならではのおもてなしの心はプライドと共に備わっていることが
ダイレクトに伝わって来ます。

改めて考えてみると、帝国ホテルで嫌な思いをしたことは1度もありません。
利用するたびにさすがだなあと感じさせられます。
待ち合わせでロビーを利用しただけの時でも、

電話で問い合わせをしただけの時でも、
とにかく心地いいのです。
それは著者がこの本で書かれている、
もてなす心がこのホテルに息衝いているからでしょう。

怒ったことや兄弟げんかをしたことがない。
お客様や上司・仲間に腹を立てたことがないなど、
あまりにも完璧で優等生の著者の書き様には
少々異質なものを感じないではありませんが、
それは私がこの方に比べてあまりにも堕落しているからかしら・・・


とはいえ、82歳まで現役でおられた方の言葉は重いです。
私は他の人に対してどれほどの気遣いをして生活しているだろうか。
読み進むにつれ、自分の背中がピンと伸びるのを感じます。
プロとして仕事をするということはどういうことかを
改めて感じさせてくれる一冊です。



 


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テーマ:紹介したい本
ジャンル:本・雑誌

「花を贈る事典 366日」 西良祐 著  講談社


私は花が好きで、花に関する本や写真集などがあるとつい手が伸びてしまいます。
20冊程花の本を所有していますが、
その中で最もあたたかさが伝わってくる大好きな1冊です。

1ページごとに誕生日花が紹介されていて、
花言葉と共に、その花にまつわる話が書かれています。
この類の本はいくつも出版されていますが、
この本は1つ1つの花に著者が愛情を込めて書いているのが伝わって来ます。
写真は一切ありません。
やさしく控えめなタッチのさし絵が各ページに掲載されています。
花について調べたい時はもちろん、
1日の始まりや終わりに1ページずつ読みたい本でもあります。

ガーデニングやアレンジメントで花に触れるのも素敵ですが、
花についてのエピソードや物語を知ることも楽しいものです。
少女の日記のような装丁やデザインもとてもやさしくてかわいいですよ。

※現在は絶版のようです。
  もし、古本屋さんや図書館で見かけたら、ぜひ手に取ってみてください。

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